クリーンアップキャンペーン結果
2011年結果概要
2011年のクリーンアップには、北は北海道から南は沖縄県まで延べ37,608人が参加し、159kmの海岸,河岸,湖岸,水中および内陸から60トンのごみを回収しました。このうち秋に行われた「国際海岸クリーンアップ(International Coastal Cleanup; ICC)」には10,825人が参加し、49 kmの水際等から一つひとつ丁寧に拾い上げられたごみの総数は380,311個にも達しました。ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。ここでは,2011年のクリーンアップキャンペーンの結果を報告します。詳しくは,「クリーンアップキャンペーンレポート2011」をご覧下さい。
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図1 クリーンアップキャンペーンの推移
クリーンアップ会場
図2 2011年クリーンアップキャンペーン全会場の分布
都道府県別実施状況の比較
図3 2011年ICC会場数,参加者数,回収した水辺等の長さのTOP5都道府県と回収したごみの量(個数)のTOP10都道府県
総合ワースト10品目
図4 総合ワースト10の構成割合
「破片/かけら類」を除いた「陸起源類および海・河川・湖沼起源類」の製品類のワースト10(総合16位まで)は、製品類全体の75.8%を占めましたが、これは全体の32.5%にしか達しません。よって例えワースト10品目の製品ごみの発生を完全に防止することができても、それだけでは海洋ごみ問題を十分に解決することができるとは言えません。
品目ごとの割合が10%を超えたのは、ワースト1〜4の4品目であり、これらだけで51.4%を占めました。また昨年17.3%を占めた発泡スチロール破片大と小は、今年は大小合わせて98,981個となり、全体の26.0%を占めました。
総合ワースト10品目の21年間の推移
ここに注目!
- タバコの吸殻・フィルターは、1990年代を代表するワースト1品目でしたが、2001年以降は硬質プラスチックが主なワースト1。
- 21年間でプラスチックシートや袋の破片、飲料用プラボトルの順位が上昇。
- 2000年代になって食品包装・容器、プラスチック袋類(農業用以外)が再び順位上昇。
図5 総合ワースト10品目の1991年から2011年までの21年間の推移
流出起源(破片類,陸上起源,海域起源)の特徴
ここに注目!
- 破片類が57.2%を占める。
- 陸上起源ごみは、「飲料」、「食品」、「タバコ」、「生活・レクリエーション」など我々の日常生活に起因するものが8割以上。
- 破片・かけら類の割合は、海岸では5割を超えたが、河川,水中,内陸では4割に留まった。プラスチックの破片化は海岸では深刻。
- 「破片・かけら類」の1品目あたりの回収個数は、「陸起源類」と比較すると10倍以上にもなる。
図6 流出起源別総合結果の構成割合
海域別の特徴
ここに注目!
- 太平洋:レジンペレットがワースト3。
- 瀬戸内海:発泡スチロール破片(大)がワースト2,カキ養殖用パイプがワースト6。
まとめ
水辺の漂着散乱ごみの特徴をまとめると以下のようになります。
- 数量もさることながら種類も多い。
- 破片/かけら類が半数以上を占める。
- 上位品目はここ数年大きな変化はない。
- 破片を除くと陸起源類と海・河川・湖沼起源類の割合は8:1を占める。
- 日常生活で私たちが使用しているプラスチック製品、特に「飲料・食品」「タバコ」「生活・レクリエーション」関係のごみが陸起源類の8割以上を占める。
- 海域による特徴があること
- 製品類のワースト10は全体の3割しかなく,これらの発生抑制だけでは海ごみ問題を解決することはできない。
これら海洋に流出したごみは、一度海底に沈むと回収が困難となります。また海に流出したごみは,海の流れによって広域に拡散していきます。産業や医療に関わるごみの流出も大きな問題ですが、私たちは「飲料・食品」、「喫煙」、「生活・レクリエーション」など日常生活に起因するごみが海のごみの主体であることに気付かなければなりません。海と離れた陸上で生活する私たちの生活が、海洋に大きな負担をかけているのです。
また近年、海岸に放置されたごみの破片化の進行は深刻です。特にプラスチックは、微小な破片となっても自然界では長期間分解されず、海の流れに乗って広域に拡散します。
本結果から見えてくる効果的な対策は、全体の8割を占めるワースト10への集中的な対策です。そのためには、全体の半分以上を占める破片/かけら類の発生抑制が重要なカギとなります。破片/かけら類の多くは、海岸に漂着したものが紫外線による劣化や波浪による衝撃などによって破片化したものと考えられることから、破片化する前に海岸から回収し、海岸を常にきれいな状態で保っておくことが必要です。すなわち、海岸での回収も発生抑制の重要な活動の一つであると言えます。よって海洋ごみ問題の解決のためには、ごみを出さないという発生抑制策の推進はもちろんですが,これまでに海洋に流出したごみによる問題の深刻化を防ぐためにも、今まで以上に回収を積極的、継続的、効率的に取り組むことが必要です。
美しい海を取り戻し、それを維持して行くためには、今後もみなさんによるクリーンアップの取り組みが必要です。