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震災起因漂流物に対するJEANの考え方
2012/06/14
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20120613JEAN.pdf
1.朝日新聞社説における記述について
記事3段目「海や川の環境保全に取り組んできたNGOのJEAN(略)は、米国のNGOと連携して、対策を話し合う会議への参加や日本からのボランティアの派遣を計画している。」について、正確には以下のような状況です。
(1) 「対策を話し合う会議への参加」について
一ヶ月ほど前、環境省海洋環境室からの検討の要請がありました。その概要としては、米国やカナダの海岸に震災起因と思われる漂流物が漂着との報道があることや、環境省でも今年の秋以降の漂着を予測していることから、「NGOレベルで何らかの対応や行動ができないものか。米国の関係者との意見交換など、先ずは現地の状況を確認していくことも含め、検討してほしい」とのことでした。
JEANでは、震災発生後間もない時点から<別表>のような動きをしてきました。震災起因漂流物の北太平洋の海洋環境への影響をはじめ、北米大陸西海岸への大量漂着の問題が今年以降、大きな課題になることを様々な機会を通じて各方面に提起してきたところです。
一方、かねてからJEANの財政状況が悪化してきたところに東日本大震災が発生したこともあって、寄付金などの確保がより困難になりました。尚、2009年に制定した「海岸漂着物処理推進法」には「民間団体等への財政上の配慮」という項目がありますが、法制定後、その対応に全国規模で奔走していますJEANに対しては、この間、国から何も措置されておらず、これも法人の運営体制の弱体化の原因となっています。
このような状況ですが、環境省からの要請につきましては、1990年から取り組んできた国際海岸クリーンアップ(ICC)のとりまとめ団体である米国のNGO(Ocean Conservancy、本部 ワシントンD.C.)の担当者が来日していた機会に検討を相談したところ、米国におけるNGO関係者らによるミーティングについての協力を内諾してくれたこともあり、必要経費が確保されるのであれば検討するということになりました。
今後、日米のNGO関係者らによるミーティングをどこで、どのようなメンバーで、どのようなテーマで開催していくのか、現地の状況も把握しながら具体化に向け、環境省や米国NGO等と調整していく予定です。
(2) 「日本からのボランティアの派遣を計画」について
現時点で何らの計画も持っていません。
【補足】
震災起因漂流物の大量な漂着に対応していくには、国の役割とNGOの役割を整理しておく必要があります。政府レベルでは、日米、日加等の二国間協議が必要になります。
震災以前の漂着物と違って、有害な薬液等が入った危険な物品、木造家屋の部材や家財などの処理困難物が多く想定されることから、その回収についてはボランティアの域を超えた方策が必要になります。また、中には被災者の記念の品々もありますので、所有権等の確認も含めた対応も課題の一つです。
漂着の海岸が僻地にある場合には、日本から回収ボランティアを派遣することにどれほどの効果があるのかという疑問もあります。
もちろん北米大陸の西海岸やハワイ諸島の海岸などの中にも、ボランティアによる回収で対応できる場所もあるかもしれません。
先ずは、NGO等のレベルでどのような対応策があるのか、(1)に挙げた日米のNGO関係者らによるミーティングで意見交換を図ることが必要です。
2. これまでの動きについて
別表 震災起因漂流物に対するJEANの動き
2012/06/11
背 景 |
2001年、アラスカ大学のリチャード・ステイナー教授からの問い合せで、日本起源のごみが北太平洋を横断し、北西ハワイ諸島の海岸に漂着していることを確認。その後、OC(Ocean Conservancy)や米国アルガリータ海洋研究所のチャールズ・ムーア氏などと、北太平洋における海洋ごみの情報交換が始まる。 その結果,JEANでは、日本起源のごみが北太平洋へ漂流し、海洋環境に影響を与えていると認識し、国内でのクリーンアップ活動に取り組み、政府等の検討会での問題提起や指摘、国内外のNGO/NPOと連携した調査研究を行ってきた。 |
2011年3月 |
米国ハワイ州において開催された5th International Marine Debris Conference において、「日本起源の海洋ごみの北太平洋への影響」について発表を予定していたが、震災発生のため参加を断念し、ポスターセッションでの展示のみ行った。 |
2011年4月 |
環境省海洋環境室を訪問し、今後想定される震災起因漂流物の海洋環境等への影響について、懸念を伝える。 |
2011年5月 |
海岸漂着物処理推進法の立法に取り組んだ自民党政務調査会漂流・漂着物対策特別委員会を開催していただき、震災起因漂流物の海洋環境等への影響についての懸念を伝えると共に、実態把握等のためのタスクフォースの設置等を要望した。 |
2011年6月 |
米国ミッドウェー環礁において漂着散乱ごみ調査を実施。震災起因漂流物は、この時点での漂着を確認できなかったが、それ以前に流出した日本を起源とする大量のプラスチックごみの漂着を確認した。 |
2011年9月 |
米国ハワイ諸島において漂着散乱ごみ調査を実施。日本起源の漂流ごみが大量に漂着していること、およびプラスチックの破片化が進行していることを確認。同時に、ハワイ大学国際太平洋研究センターを訪問し、マキシメンコ博士と漂流予測について意見交換。この際、漂流物の目視情報が不足していることが指摘された。 また、NOAA海洋ごみ担当者キャリー・モリシゲ氏と面談し、NOAAとしての今後の対応やハワイ諸島における海洋ごみ問題の対応等を聞く。さらに現地(オアフ島、ハワイ島、マウイ島、カウアイ島)NGO関係者と海洋ごみに関する意見交換を実施した。 |
2011年9月 |
海ごみサミット愛媛会議(主催:JEAN、愛媛大学)において、討議テーマの一つに震災起因漂流物を掲げ、意見交換等を行った。 |
2011年10月 |
全国の水産系高等学校実習船に対し、洋上での震災起因漂流物の目視観測の依頼を行う。2012年5月現在、8校9隻の実習船・練習船が本観測に参加。得られた情報は、ハワイ大学をはじめ、環境省海洋環境室から内閣官房総合海洋政策本部にも提供している。現在も観測は継続している。 |
2012年5月 |
OC北太平洋担当者ニコラス・マロス氏が来日。三陸沿岸での取材に協力。また、OCとJEANの連携について、米国での状況等についての意見・情報交換を行った。今後も、継続して情報共有を図っていくこととしている。 |
2012/06/13発表
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