クリーンアップキャンペーン結果
2013年結果概要
2013年のクリーンアップには、北は北海道から南は沖縄県まで405会場(図2)に延べ34,758人が参加し、192kmの海岸,河岸,湖岸,水中および内陸から、87トンのごみを回収しました。このうち秋に行われた「国際海岸クリーンアップ(International Coastal Cleanup; ICC)」には9,337人が参加し、84kmの水際等から一つひとつ丁寧に拾い上げられたごみの総数は、243,423個にも達しました。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。ここでは,2013年のクリーンアップキャンペーンの結果を報告します。詳しくは,「2013 JEAN 年間活動&クリーンアップキャンペーンレポート」をご覧下さい。
図1 クリーンアップキャンペーンの推移と歴史
クリーンアップ会場
図2 2013年クリーンアップキャンペーン全会場の分布
都道府県別実施状況の比較
図3 2013年ICC会場数,参加者数,回収した水辺等の長さのTOP5都道府県と回収したごみの量(個数)のTOP10都道府県
総合ワースト10品目
ここに注目!
- 「破片/かけら類」は、4品目中3品目がトップ10
- 「陸起源類」は、32品目中6品目がトップ10
- 「陸起源類」に占めるトップ10の割合は、全体の26.9%。トップ20の割合は、全体の41.3%
- 「海・河川・湖沼起源類」では、カキ養殖用まめ管が6位
- 製品類(破片/かけら類以外)のトップ10(総合15位まで)は、製品類全体の72.7%、全体の35.9%
図4 総合ワースト10の構成割合
総合ワースト10品目の23年間の推移
ここに注目!
- トップ3の出現頻度は、1位 硬質プラスチック(21年)、2位 タバコの吸殻・フィルター(18年)、3位 発泡スチロール破片(大)(15年)
- トップ10の出現品目は、23年間大きな変化なし
- トップ1は、タバコの吸殻・フィルター(1990年代)から硬質プラスチック破片(2000年代)へ
- 23年間で順位上昇品目:プラスチックシートや袋の破片、飲料用プラボトル
- 23年間で順位降下品目:花火
- 食品の包装・容器は2000年から、飲料缶は2010年から順位上昇
図5 総合ワースト10品目の1991年から2013年までの23年間の推移
流出起源(破片類,陸上起源,海域起源)の特徴
ここに注目!
- 品目減により、「破片/かけら類」の割合は昨年の52.1%から39.7%へと減少
- 「破片/かけら類」は海岸で45%を占めたが、河川・水中では3割以下。内陸では1%以下
- 海岸における「破片・かけら類」の1品目あたりの回収個数は、「陸起源類」の約10倍
- 「陸起源類」では日常生活に起因するものが9割以上
- 瀬戸内海では「海運・水産業」が27.7%。カキ養殖用まめ管,パイプが原因
- 海岸における「陸起源類」:「海・河川・湖沼起源類」=3:1
図6 流出起源別総合結果の構成割合
海域別の特徴
ここに注目!
- 瀬戸内海:カキ養殖用パイプが一位。
まとめ
水辺の漂着散乱ごみの特徴をまとめると以下のようになります。
- 数量もさることながら種類も多い。
- 破片/かけら類が4割を占める。
- 上位品目はここ数年大きな変化はない。
- 破片を除くと陸起源類と海・河川・湖沼起源類の割合は3:1で,陸起源が主である。
- 日常生活で私たちが使用しているプラスチック製品、特に「飲料」「食品」「喫煙」「生活」関係のごみが陸起源類の9割以上を占める。
- 製品類のワースト10は全体の1/3しかなく,これらの発生抑制だけでは海ごみ問題を解決することはできない。
るごみの流出も大きな問題ですが、私たちはまず、「飲料」「食品」「喫煙」「生活」など日常生活に起因するごみが海のごみの主体であり、海と離れた陸上に住む私たちの生活が海洋に大きな負担をかけていることに気付かなければなりません。また近年、海岸に放置されたごみの破片化の進行は深刻です。特にプラスチックは、微小な破片となっても自然界では長期間分解されないため、海の流れに乗って広域に拡散し、人の手が届かないところに集積していきます。
本結果から見えてくる効果的な対策は、全体の7割を占めるトップ10への集中的な対策です。そのためには、全体の4割を占める破片/かけら類の発生抑制が重要なカギとなります。破片/かけら類の多くは、海岸に漂着したものや海洋を長期間漂流中に紫外線による劣化や波浪による衝撃などによって破片化したものと考えられます。よって、破片化する前に海から回収することが急務です。
美しい海を取り戻し、それを維持して行くためには、今後もみなさんによるクリーンアップの取り組みが必要です。
過去の結果
過去のICC結果概要は以下からご覧下さい。